令和3年度商取引・サービス環境の適正化に係る事業(FATF第4次審査を踏まえたクレジットカード業、商品先物取引業及び私設私書箱業のマネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に関する調査)
報告書概要
この報告書は、FATF第4次審査を踏まえたクレジットカード業、商品先物取引業及び私設私書箱業のマネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に関する調査について書かれた報告書である。
経済産業省は、FATFの第4次対日審査に対応するため、253社のクレジットカード業、37社の商品先物取引業、491社の私設私書箱業を対象とした包括的な調査を実施した。本調査では、各業種のAML/CFT対策の実態把握、リスク評価手法の確立、監督・検査手法の改善を目的としている。調査内容は、アンケート調査による実態把握、リスクレーティング手法の検討・確立、私設私書箱業に対するガイドライン策定提言、監督・検査の在り方の検証から構成されている。
クレジットカード業界については、大手、銀行本体、銀行子会社、地銀本体、地銀子会社、流通系、独立系、鉄道系、通信系、新興系、自社商品、小売店共同の12の系列に分類し、それぞれの特徴を分析した。多くの事業者が大手業者のコンプライアンスプロセスに依存している実態が明らかとなった。調査設計においては、FATF基準に基づくリスクベース・アプローチを採用し、固有リスク、統制状況、残存リスクの三要素で構成されている。
さらに、本調査は今後のAML/CFT検査・監督のインフラとして位置づけられており、事業者の自律的な態勢整備を促進することを前提としている。政府行動計画では、令和6年春までにマネロン・テロ資金供与・拡散金融対策の強化、取引モニタリングの共同システム実用化、継続的顧客管理の完全実施等の具体的な取組みが示されている。これらの施策により、日本のAML/CFT態勢の実効性向上とFATF勧告への適切な対応を図ることが期待されている。
