令和3年度産業経済研究委託事業(兼業・副業人材の活用に向けた地域外高度人材誘致手法分析事業)報告書
報告書概要
この報告は、経済産業省が実施した兼業・副業人材の活用に向けた地域外高度人材誘致手法分析事業について書かれた報告書である。2021年12月から2022年3月にかけて、首都圏・関西圏の中堅・中小企業・小規模事業者25社を対象に、兼業・副業人材の活用実態についてヒアリング調査を実施した結果がまとめられている。
調査の結果、兼業・副業人材は経営課題解決における外部人材の知見・スキル活用のほか、正社員と同等の主力人材採用、専門領域のタスク業務委託など多様な目的で活用されていることが明らかになった。企業は兼業・副業人材に対して「成果に直結した専門人材」「主体的に活動できる即戦力人材」「相談できる頼れる人材」としての期待を寄せており、専門領域の知見・スキルをベースとしたプロジェクト単位での活用が最も多い傾向にある。
課題領域・テーマとしては、販路開拓・マーケティング、特にEC(電子商取引)を活用した販路拡大を目的とする企業が多く見られた。その他、経営戦略の立案・実行、組織改善、DX化推進、人材育成などの分野でも活用されている。人材の探し方については、信頼できる紹介者や社員を介したリファラル(紹介・推薦)による採用が最も多く、官公庁・自治体事業や経営支援機関等の事業活用も頻繁に行われている。
採用においては、経営課題を解決する知見・ノウハウ・リソース、人材との相性、稼働イメージなどが決定要因となっており、お試し期間を設ける企業も多い。契約形態は業務委託契約が主流で、報酬パターンは月額固定、稼働単価、成果報酬、時間単価など領域や業務内容によって多様である。秘密保持については契約書の条項で対応する場合が多く、機密情報を扱う場合は別途秘密保持契約を締結している。
