令和3年度製造基盤技術実態等調査(我が国製造業の足下の状況認識に関する調査)報告書
報告書概要
この報告は、我が国製造業の足元の状況認識に関する調査について書かれた報告書である。令和3年度において、日本の製造業は経済のグローバル化やデジタル技術革新等の環境変化により、液晶や半導体製造分野で競争力を低下させ、自動車産業もCASE領域での技術革新に対応した事業変革が求められている状況にある。
実質GDP成長率は2021年に四半期ごとに変動し、新型コロナウイルス感染症の影響により不安定な推移を示した。製造業は日本のGDPの約2割を占め、依然として経済の中核的役割を担っている。業況判断DIでは、大企業製造業が2021年第4四半期にコロナ前水準まで回復したが、大企業非製造業や中小企業の回復は限定的であった。
営業利益については、2021年に製造業全体で18.0兆円となり、2020年の倍以上に増加した。特に鉄鋼業と輸送用機械器具製造業が2020年のマイナスからプラス圏へ回復している。経常収支は2020年に15.9兆円の黒字となったが、コロナ影響によるサービス収支の赤字拡大で前年比3.3兆円減少した。
設備投資の動向では、2010年代後半から維持更新や生産能力拡大目的の投資が減少し、省力化合理化や情報化対応目的の投資が増加している。情報化対応投資は2016年の26.6%から2021年には45.2%まで増加し、DXの流れがコロナ禍で加速した影響が見られる。環境対策投資も2019年頃から増加傾向にあり、カーボンニュートラル宣言の社会的要請に対応している。ソフトウェア投資額は製造業で2009年から2021年にかけて42.5%増加し、特に化学工業や生産用機械器具製造業等で2倍以上の拡大を示している。
