令和3年度製造基盤技術実態等調査(我が国製造業における技術分野の長期的展望に関する調査) 調査報告書
報告書概要
この報告書は、日本の製造業における2050年を見据えた重要技術分野の長期的展望について調査・分析したものである。2022年3月に株式会社ローランド・ベルガーが経済産業省から委託を受け、エビデンスに基づく政策立案(EBPM)の手法を用いて製造基盤技術の実態調査を実施した。
本調査の背景には、サステナビリティ推進やデジタル革命といった技術革新により製造業を取り巻く環境が急速に変化していることがある。国際政治による産業界への介入強化や安全保障におけるサプライチェーン国内回帰の必要性など、個社や個別産業では対応困難な課題が多数存在し、長期的視点での政策立案が求められている。政策資源を有効活用するため、複雑かつ急速に変化する事業環境から日本の社会・経済にとっての重要課題と、その解決を担う技術分野を客観的データに基づいて的確に捉える必要性が高まっている。
調査では、カーボンニュートラルを目指す2050年をターゲットとし、特許申請件数やインターネットデータマイニングなど定量的データを基に重要技術分野を抽出した。「カーボンニュートラル×ものづくり」の観点から3つの重要テーマを設定し、テーマ①「捨てる」の削減につながる生物模倣や天然由来・分解可能な素材、テーマ②ものづくり工程におけるデジタル上での物理空間の再現、テーマ③モビリティの低炭素化と高効率な電力制御・変換について詳細な分析を行った。
分析結果として、網羅性高く客観的にキーワード・技術を抽出する可能性を示すことができた。抽出された技術の解釈パターンを5つに分類し、応用先が予測できない技術、技術の実用化、複数技術の組み合わせ、技術と技術以外の要件の実現、一段上の視点での解釈というパターンを提示した。これらのパターンを持つことで多様なキーワード・技術の解釈をスムーズに実施できるとしている。
