令和3年度地域経済産業活性化対策調査(地域・産業のDX化促進に向けたエコシステムの創出)業務調査報告書
報告書概要
この報告は、令和3年度に実施された北海道内中小企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)化促進に向けたエコシステム創出に関する調査報告書である。コロナ禍により企業を取り巻く環境が急激に変化する中、迅速な環境変化への対応や企業文化の変革が求められている背景のもと、北海道経済産業局が株式会社道銀地域総合研究所に委託して実施された。調査では道内中小企業1,000社を対象としたアンケート調査を実施し、有効回答312件を得た結果、DXの認知度については理解が進んでいるのは4分の1程度で、15%の企業が「知らない」と回答していることが判明した。また、DXに取り組んでいる企業は19.6%にとどまり、48.9%が取り組んでいない状況である。企業の約6割が日常的に相談できるITベンダを持つ一方、53.9%の企業が社内にIT担当者を配置していない現状が明らかとなった。支援機関に対する調査では、DXの相談を受けても支援できないケースが見受けられ、道内のDX支援体制が整っていないことが確認された。具体的なケーススタディとして、株式会社イークラフトマンによるEDI一本化システム開発、むろらん東郷への生産管理システム導入、AI活用による介護現場見守りシステムなど、道内企業の先進的なDX取組事例を紹介している。さらに、道内中小企業のサイバーセキュリティ対策についても検証を行い、実証モデル8社において不正通信63%、スパムメール75%を検知し、多くの企業にサイバー攻撃の脅威が潜んでいることを明らかにした。今後のDX促進に向けては、継続的な情報提供、企業内DX人材の育成、現場を確認しながら助言できる相談先の整備が必要であり、道内産業支援機関の連携体制構築により連続した全体支援が可能になると提言している。
