令和3年度石油・ガス供給等に係る保安対策調査等事業(高圧ガス保安に係る法定講習の実施方法の在り方について)報告書
報告書概要
この報告は、経済産業省委託による高圧ガス保安に係る法定講習の非集合型(オンライン)実施方法について検討された報告書である。高圧ガス保安法に基づく法定講習は、産業活動及び保安活動の水準維持に重要な役割を果たす講習であり、新型コロナウイルス感染拡大を機に従来の集合型から非集合型への転換が求められている。本調査では、三つの主要な検討項目を実証的に検討した。第一に、非集合型教育によるグループ討議の在り方について、Web会議システムを用いたリアルタイム方式と掲示板機能を活用した非リアルタイム方式の両方で実証を行い、従来の集合型教育と同等の学習効果を得られるかを検証した。実証では過去に集合型義務講習を受講した者を対象として、共通テーマに対する意見出し、グループ討議、成果発表を実施し、アンケート調査により課題を抽出した。第二に、非集合型法定講習における本人確認及び不正行為防止対策技術について、二つのAIシステムを用いた実証実験を実施した。検定試験の実施場面を想定し、本人確認技術の精度と不正行為検知能力を検証し、健全性確保と利便性向上の両立可能性を評価した。実証では顔認証システムによる本人確認、AIによる不正行為監視機能の有効性と限界を明らかにした。第三に、非集合型教育用の教材開発について、機器のアニメーション、現場写真の活用等により効果的なオンライン学習教材の具体例を作成した。委員会は学識者、法定講習実施機関、民間講習機関、電子情報技術関係団体等の専門家により構成され、高圧ガス業界団体もオブザーバとして参加した。検証の結果、非集合型講習の実現可能性と課題が整理され、令和4年度以降の法定講習の非集合型実施に向けた具体的な指針が示された。
