令和3年度商業動態統計調査の見直しに関する調査研究調査報告書
報告書概要
この報告は、経済産業省が委託した令和3年度商業動態統計調査の見直しに関する調査研究について書かれた報告書である。
商業動態統計調査は、我が国商業の事業活動の動向を明らかにすることを目的とした基幹統計調査であり、業種別・業態別の動向を把握し、景気指標として重要な役割を担っている。特に新型コロナウイルス感染症の影響を精緻に把握するニーズが高まっており、調査の充実が求められている状況にある。
本調査研究では、二つの主要な検討課題に取り組んだ。第一に、最新情報の活用が可能となる事業所母集団データベースの年次フレームの活用検討である。従来は経済センサス活動調査を基盤としていたが、より新しい情報を反映した名簿作成の可能性を探った。第二に、百貨店・スーパーを対象とする丙調査について、売場面積によらない定義の検討を行った。現行では売場面積やセルフサービス方式の有無により対象を特定しているが、事業所母集団データベースでは情報が得られないことが課題となっている。
有識者委員による研究会を3回開催し、集中的な議論を実施した。事業所母集団データベースの活用については、更新頻度と事業所・企業情報の網羅性という長所がある一方で、商業動態統計調査の標本設計・抽出に必要な項目が全て揃っていないという課題が明らかになった。特に新設事業所については産業細分類や売場面積などの情報が不足しており、これらを補完するための業務負担が大幅に増大することが判明した。
母集団名簿については、標本設計の根幹であることから、引き続き経済センサス活動調査を活用することが妥当であると結論づけた。調査対象の抽出についても、情報不足や入手可能なタイミングを考慮すると、経済センサス活動調査を継続使用することが適切であるとの判断に至った。丙調査の定義見直しについては、現行の定義でも十分に把握できており、今後の見直しには慎重な検討が必要であることが確認された。