令和3年度内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(エンベデッド・ファイナンス(埋め込み型金融)の実態把握調査)最終報告書
報告書概要
この報告は、エンベデッド・ファイナンス(埋め込み型金融)の実態について書かれた報告書である。エンベデッド・ファイナンスとは、従来の金融サービスを非金融事業者のプラットフォームやサービスに統合し、顧客体験の向上と金融アクセスの拡大を図る新しい金融サービス形態である。本調査では、日本を含む主要国におけるエンベデッド・ファイナンスの現状と動向を分析している。
特に注目されるのは、中国のデジタル人民元やインドのデジタル決済システム「UPI」などの先進事例である。これらの国では政府主導でデジタル金融インフラが整備され、金融包摂の促進と経済のデジタル化が進展している。中国では2016年から2019年にかけて金融リテラシーと金融包摂が大幅に改善し、デジタル決済の普及が金融サービスへのアクセスを向上させた。
インドではNITI Aayogが推進するデジタル決済プラットフォームKashiや、API Setuを活用したKYC Setuなどの取り組みが展開されている。これらのシステムは、従来の金融機関を介さずに、テクノロジー企業や非金融事業者が直接金融サービスを提供することを可能にしている。
日本においても、エンベデッド・ファイナンスの導入により、消費者の利便性向上と新たなビジネスモデルの創出が期待される。しかし、規制環境の整備や既存金融機関との協調関係の構築など、解決すべき課題も多い。今後は国際的な動向を参考にしながら、日本独自のエンベデッド・ファイナンス市場の発展戦略を策定する必要がある。
