令和3年度石油・ガス供給等に係る保安対策調査等委託費 (業務用ガス燃焼機器の安全性向上対策に係る調査研究) 報告書

掲載日: 2022年6月24日
委託元: 経済産業省
担当課室: 産業保安グループガス安全室
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報告書概要

この報告は、経済産業省委託調査による業務用ガス燃焼機器の安全性向上対策について書かれた報告書である。業務用ガス燃焼機器が使用される厨房施設等においてガス漏えいによる火災・爆発事故や一酸化炭素中毒事故が発生した場合、甚大な被害を及ぼす可能性があることから、より安全な使用を促進するための取組が重要であるとしている。特に業務用オーブンレンジのオーブン部など密閉空間を有し裸火が見えない構造の機器は、ガスによる事故が比較的発生しやすいことが指摘されている。

本調査では、業務用オーブンレンジ等への立ち消え安全装置普及促進に向けた検討と、業務用ガス燃焼機器の安全な使用に関する周知方法の検討を実施した。立ち消え安全装置の普及促進については、業務用ガスオーブンの漏えい着火事故が年平均約7件発生しており、そのうち約8割は立ち消え安全装置が搭載されていれば防げた可能性があることが判明した。現在、国内で製造されている業務用オーブンの96.6%、業務用オーブンレンジの68.0%に立ち消え安全装置が搭載されているものの、依然として事故が発生している状況である。

規制対象製品への追加に関する検討では、業務用ガスオーブンの国内市場規模が約58億円であり、製造事業者は18者、年間製造出荷台数は約15,150台であることが確認された。立ち消え安全装置搭載オーブンを製造していない事業者は7者程度存在し、規制導入にあたり必要な費用は最大7,000万円程度と試算された。規制の効果が大であるのに対して費用は少額にとどまると見込まれることから、ガス事業法等の規制対象製品に指定することが有効な選択肢として示された。

周知方法の検討では、従来のチラシ配布等による周知方法では末端の飲食店まで情報が行き届かない場合があることから、新たな取組を実施した。業界団体が運営するスマートフォンアプリに情報を掲載し、会員飲食店が直接情報を確認できるようにしたほか、日本商工会議所及び全国商工会連合会を通じた周知、飲食業界関係者が来場する展示会でのチラシ配布を行った。これらの取組により、これまで団体を通じての周知が行き届かなかった小規模な飲食店に対しても情報を届けることが可能となった。今後も官民が連携して周知の取組を継続していく必要があるとしている。