令和3年度産業技術調査事業(研究開発事業終了後の実用化状況等に関する追跡調査・追跡評価)報告書

掲載日: 2022年6月24日
委託元: 経済産業省
担当課室: 産業技術環境局研究開発課技術評価室
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令和3年度産業技術調査事業(研究開発事業終了後の実用化状況等に関する追跡調査・追跡評価)報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、経済産業省が実施した研究開発事業の終了後における実用化状況や波及効果を調査・評価した追跡調査・追跡評価について書かれた報告書である。

令和3年度において、経済産業省は技術評価指針に基づき、平成27年度、平成29年度、令和元年度に終了時評価を行った41の研究開発事業を対象として追跡調査を実施した。調査対象は延べ252機関であり、過去のデータを含めて最大689サンプルの回答結果を整理・分析している。調査内容は研究開発成果の実用化状況、特許等知的財産の利用状況、事業化の成功・失敗要因等の把握を目的としている。

追跡調査の結果から、研究開発事業の成功要因として6つの重要な観点が抽出された。まず研究開発事業のミッションの明確化による関係者間での情報共有の重要性、次に技術開発の出口コンセプトを明確にした想定ユーザー選定の重要性、さらにデータオリエンテッドな研究開発マネジメントの重要性が確認された。また事業化に必要な外部目線を有する専門人材の配置、グローバル目線での知的財産対応、成長志向に基づく背伸びをした想定目標レベル設定の重要性も示された。

追跡評価については「次世代型双方向通信出力制御実証事業」を対象として実施された。この事業は電力プラットフォーム構築を目的とした先駆的なプロジェクトであり、事業者間での横連携促進、既存技術の組み合わせによる社会実装の実現、遠隔制御技術の開発といった成果を上げた。評価結果では技術波及効果、研究開発力向上効果、経済効果等の観点から総合的な評価が行われ、グリーンイノベーション事業の布石として時節を先取りしたプロジェクトであったと評価された。

しかしながら、国際展開や標準化、データ共有のスキーム等において改善すべき点も明らかになった。今後の国の重要インフラプロジェクトにおいては、国際標準化、コスト競争力の確保、サイバーセキュリティ対策、SDGsの観点をプロジェクト設計に組み込むべきであるとされている。