令和3年度化学物質安全対策(化学物質に関連する情報を効果的・効率的に活用するための調査)最終報告書
報告書概要
この報告は、化学物質管理に関する情報の効果的・効率的な活用について書かれた報告書である。日本では化審法や化管法など複数の法令に基づいて化学物質管理が行われているが、各法令でデータが分散管理されており情報の重複や非効率性が課題となっている。一方、欧州ではREACH規制により従来の複雑な法規制体系を統合し、リスク評価の義務を政府から事業者に移行することで化学物質管理の促進を図っている。事業者による自主的かつ適正な化学物質管理を促進するためには、管理に必要な情報や各法令遵守のための情報を効果的に伝達する手段が必要である。現状では労働安全衛生法、毒劇法、大気汚染防止法、水質汚濁防止法などの各法令で蓄積されているデータがばらばらに管理されており、これらの情報を一元管理し事業者と効果的に共有する施策が求められている。そこで化学物質管理の質の向上を目的として、政府共通のデータ連携基盤の構築が提案されている。この基盤の実現に向けてはデータ品質の確保、ニーズの深掘り、営業機密情報への配慮、データ提供方法の検討、事業者の自主的取組促進という課題を解消する必要がある。将来的には関係省庁との連携による段階的な施策実施を通じて、事業者によるリスク評価の標準化、届出・判定の効率化、必要な情報のオープン化、SDS・ラベル表示の電子化を実現する化学物質管理ツールの構築が期待されている。