令和3年度日本標準産業分類に関する調査研究事業調査報告書
報告書概要
この報告は、令和3年度に実施された日本標準産業分類の改定に向けた調査研究について書かれた報告書である。日本標準産業分類は昭和24年の設定以来、我が国の経済・社会変化に対応するため13回の改定が行われており、現在、前回改定から8年が経過し第14回改定が令和5年度に予定されている。
現在の産業構造は、デジタル化の進展、経済のサービス化、事業経営の多角化、流通構造の多様化、製造業のファブレス化、シェアリングエコノミーの進展など、経済活動の多様化により著しく変化している。このため、日本標準産業分類はこれらの変化に的確に対応する必要がある。
本調査では、分類の整理として、日本標準産業分類と国際標準産業分類、北米産業分類、欧州産業分類との対応表を作成し、経済センサス活動調査の調査票情報を用いて分類別の売上高、従業者数、事業所数等の集計を実施した。また、第14回改定の量的基準に該当する分類や新産業・新制度の状況を踏まえ、検討事項を整理した。
製造業分野では、カット野菜製造業について野菜加工に関する説明文の追加案と新設案を提示した。果糖製造業については糖類・糖質・甘味料の種類を整理し、分類名の変更案や新設案を示した。つい立製造業は家具製造業の課題点を列挙した。洗浄剤・磨用剤製造業については製造品例や定義の整理を実施し、ドローンについては航空機製造業と娯楽用具製造業への説明文追記案を提示した。
卸売業・小売業分野では、食材宅配サービス業、宅配専門牛乳店、宅配水販売業について事業所数や売上高規模を集計し、説明文の追記案を示した。調剤薬局については関連法規の整理と調査票情報の分析を実施した。ワンプライスショップについては複数の産業分類に分類されている状況を明らかにした。水素ステーション・充電ステーションについては業態や市場を整理し、燃料小売業での分類案を示した。
サービス業分野では、舞台制作技術サービス業について舞台制作技術関連スタッフの人数規模やライブエンターテイメントの市場規模を整理し、舞台制作技術に関連する事業が様々な産業分類に分類されている実態を明らかにした。これらの調査結果は、産業構造をより良く反映した日本標準産業分類の改定に向けた基礎情報として活用される。
