令和3年度中小企業実態調査事業(中小企業税制の利活用状況に関する調査研究)中小企業税制に関するアンケート調査報告書
報告書概要
この報告書は、中小企業関係租税特別措置の利用実態と政策効果について分析した調査報告書である。株式会社東京商工リサーチが2021年10月から11月にかけて全国20,000社に対して実施したアンケート調査で、3,484件の回答を得た。調査では2011年度から2020年度までの10年間における設備投資の状況と税制利用実態を詳細に分析している。金融環境が設備投資に与えるマイナス影響については、すべての年度で「影響はない」が9割前後を占め、年度が進むにつれて影響を受ける企業の割合は減少傾向にある。中小企業投資促進税制の利用状況では、全年度で「利用していない」が最も多く、利用率は2018年度まで上昇したが2019年度以降は低下している。利用企業の内訳では特別償却が税額控除より圧倒的に多く、約8割を占めている。設備取得額の分析では、特別償却利用企業の平均取得額は2500万円から3400万円程度で推移し、税額控除利用企業では1000万円から2000万円程度となっている。中小企業経営強化税制等については、2014年度の制度開始以降「いずれも利用していない」が最多であるが、A類型の利用率は年度を追うごとに増加傾向を示している。この調査は中小企業の設備投資促進政策の効果測定と今後の政策立案に重要な基礎資料を提供するものである。
