令和3年度新エネルギー等の保安規制高度化事業(ダム水路主任技術者資格の交付要件等に関する調査)調査報告書

掲載日: 2022年7月1日
委託元: 経済産業省
担当課室: 産業保安グループ電力安全課
元の掲載ページ: 掲載元を見る
令和3年度新エネルギー等の保安規制高度化事業(ダム水路主任技術者資格の交付要件等に関する調査)調査報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、ダム水路主任技術者資格の交付要件等に関する調査について書かれた報告書である。令和3年度に一般社団法人電力土木技術協会が経済産業省から委託を受けて実施した調査であり、水力発電設備の保安監督を行うダム水路主任技術者制度の見直しを目的としている。

現行制度では、ダム水路主任技術者は試験制度がなく実務経験のみで免状交付を受けるため、学歴によっては長期間の実務経験が必要とされている。また、近年の気象の苛烈化やIT技術の進歩に伴い、業務のあり方について改めて検討が必要となっている。

調査は学識経験者、関連団体、実務経験者等からなる検討委員会と作業部会を設置して実施された。主な調査内容は、講習制度導入による実務経験年数短縮などの免状交付要件見直し案の検討と、遠隔監視制御技術の高度化を踏まえた主任技術者選任規定の見直し案検討である。

調査結果として、現行制度では第1種ダム水路主任技術者の場合、土木学科大卒者で5年、高校卒者で10年の実務経験が必要であるが、講習受講により土木学科大卒者は3年、高校卒者は5年に短縮する案が提示された。また、遠隔監視制御装置により管理されている発電所については、従来の地理的制約や到達時間制限を緩和する見直し案も示されている。

さらに、維持流量発電所の工事に係る主任技術者兼任手続きの効率化や、統括事業場における保安管理業務の実効性確保のための要件整備についても検討が行われ、具体的な改定案が作成された。これらの見直しにより、水力発電設備の安全確保を前提としつつ、より効率的で実効性のある主任技術者制度の構築を目指している。