令和3年度産業経済研究委託費イノベーション創出加速のためのデジタル分野における「ニューロダイバーシティ」の取組可能性に関する調査

掲載日: 2022年7月1日
委託元: 経済産業省
担当課室: 経済産業政策局経済社会政策室
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報告書概要

この報告は、デジタル分野における「ニューロダイバーシティ」の取組可能性について書かれた報告書である。ニューロダイバーシティとは、発達障害を人間のゲノムの自然で正常な変異として捉え、その特性を企業活動に活かそうとする考え方を指している。特に自閉症やADHDといった発達障害のある人材が持つパターン認識、記憶、数学分野の特殊な能力は、データアナリティクスやITサービス開発といったデジタル分野の業務と高い親和性を示すことが明らかになっている。

調査では、国内外の先進的な取組を実施している企業9社に対するヒアリング調査を実施し、ニューロダイバーシィ推進の方法論を構築した。さらに、8社264名を対象としたフィールド検証により、ニューロダイバーシティの取組が健常者を含む職場全体のイノベーション創出促進や生産性向上につながることを定量的に検証した。その結果、198名から有効回答を得て、東京大学先端科学技術研究センターの熊谷晋一郎准教授らの監修のもとで分析を行った。

企業がニューロダイバーシティに取り組むためには、適切な配慮や支援環境の整備が不可欠である。聴覚刺激過多を防ぐイヤーマフの装着許可などの具体的配慮により、発達障害のある人材がその特性を活かして企業の戦力となることが可能となる。このような取組は、少子高齢化が進む我が国における就労人口維持と企業競争力強化の観点から重要な成長戦略として位置づけられる。調査結果は企業向けレポートとして取りまとめられ、ニューロダイバーシティが人材獲得とイノベーション・生産性向上につながる成長戦略であるというキーメッセージが示された。