令和3年度化学物質安全対策(ナノ材料等に関する国内外の安全情報及び規制動向等に関する調査)
報告書概要
この報告は、ナノ材料と内分泌かく乱物質に関する国内外の規制動向および安全性情報について書かれた報告書である。ナノ材料は抗菌加工や日焼け止め、化粧品から電池用電極添加剤まで幅広い用途を有し、今後の応用拡大が期待される一方、安全性評価方法が未確立であることから各国で予防的措置が講じられている。欧州では2013年以降、フランス、ノルウェー、デンマーク、ベルギー、スウェーデンにおいてナノ材料の届出・登録が段階的に義務化され、EU化粧品規則では化粧品中のナノ物質について安全性データの届出と表示が求められている。
OECD工業ナノ材料作業部会においては、スポンサーシッププログラムによるドシエ整備が進展し、科学的知見が蓄積されている。アドバンストマテリアルの開発進展に伴い、表面改質や複合材料開発によりナノ材料が複雑多岐化しており、サプライチェーン全体でのライフサイクル管理の必要性が重視されている。欧州を中心とした「safe(r)-by-design」概念と規制の連携強化が図られ、OECD WPMN の2021-2024年計画にアドバンストマテリアルが組み込まれた。
内分泌かく乱作用については、欧州での関心が特に高く、2018年にEUでは殺生物剤と植物保護製品について規制対象として取り込まれ、判断基準が策定された。さらに2020年秋に発表された欧州の新化学物質戦略は、新たな化学物質管理体制の構築を目指し、世界各国の化学物質管理政策への影響が予想される。
