令和3年度地域中小企業の連携体組成を通した稼ぐ力向上に資する取組に関する調査 報告書
報告書概要
この報告は、地域中小企業の連携体組成を通した競争力向上に関する調査について書かれた報告書である。
人口減少や少子高齢化、新型コロナウイルス感染拡大といった不確実性の時代において、地域中小企業が社会変化や多様化するニーズに柔軟に対応するため、デジタル技術や外部人材等の外部ツールを活用しながら新事業創出や新商品開発等の新たなチャレンジを継続することが重要であるとされている。経済産業省の研究会においても、デジタルトランスフォーメーション、価値創出の取組推進、地域の持続可能性向上、多様な人材活躍推進が今後の地域経済産業政策の方向性として提言されている。
食関連産業は生産者と消費者の間に位置し、食料の生産から消費までの各段階で食品の品質と安全性を保って安定的に供給する役割を担っている。食関連産業の国内生産額は近年増加傾向にあり、海外市場における日本食への関心の高まりや消費者の健康志向、個人の嗜好多様化などから高付加価値化への期待がある。しかし、この業界は中小・零細事業者が多く、売上があっても利益率や労働生産性が低いという問題を抱えている。
従来の経済産業政策では農商工等連携事業や新連携事業といった異分野・異業種間の連携支援が中心であったが、同業者による水平連携についてはあまり注目されてこなかった。同業種事業者は競合関係にある一方で、業界情報や技術・ノウハウを共有する存在でもあり、中小・零細事業者にとってリソース不足解決の可能性を有している。
調査では食関連同業事業者による連携体と地域中小企業におけるデータ連携事例について分析が行われた。連携体組成における課題として、人的リソース不足とパートナー発掘の困難性、連携体推進のノウハウ不足が明らかになった。これらの課題解決には、デジタル人材の活用、地域NPO等の中間支援組織をハブとした連携促進、業務プロセスの見える化によるデータ連携領域の抽出、セキュリティ強化などが必要であるとされている。
