令和3年度商取引・サービス環境の適正化に係る事業(小売業に係る国際動向等調査)最終報告書
報告書概要
この報告は、商取引・サービス環境の適正化に係る事業として小売業に係る国際動向等を調査した報告書である。小売業界は、コロナ禍によるマクロ環境や生活者の行動・意識の変化により深刻な逆風に直面している状況が明らかになった。消費マインドの低迷、サプライチェーンの混乱、エネルギー・原料価格の高騰、人手不足の深刻化、人件費の上昇、オンライン化の定着といった課題に加え、不均一な回復と新たな価値観の浸透が業界全体に影響を与えている。従来のビジネスモデルを前提とした成長のハードルは益々向上しており、質的変化が急務となっている。
国内企業へのヒアリング調査では、コンビニエンスストア業界において出店による成長が頭打ちとなり、イエナカシフトやまとめ買いの増加によるスーパー・ドラッグストアシフトの影響を受けていることが判明した。緊急事態宣言解除後も客数は完全に回復しておらず、各社は品揃え・付加価値品の強化による客単価アップ、アプリ・デジタル強化、地域密着型モデルの強化といった対応策を講じている。
調査結果を踏まえ、業界全体の課題として流通業界の体力不足、市場分散による中小企業の低収益、過当競争による成長投資不足、価格と購買力の低迷、成長領域の捕捉の遅れが特定された。これらの課題に対する打ち手として、ビジネスモデル転換の後押し、賃金と価格の健全化、業界全体の効率化が提案されている。具体的には、資金的後押しとして税制優遇・投資支援、規制緩和による新事業展開支援、業界横断での取り組み推進が必要とされている。
