令和3年度地域資源のブランディングにおけるDX推進に向けた支援方策検討調査報告書
報告書概要
この報告は、地域資源のブランディングにおけるDX推進に向けた支援方策について書かれた報告書である。2025年の大阪・関西万博を見据え、地域ブランドの国内外での知名度向上や市場開拓を目的として、デジタル技術を活用したブランディングの現状分析と支援方策の検討が行われた。
調査は、地域ブランド製品を製造販売する中小企業者等103社へのアンケート調査と6社への詳細ヒアリング、地域でのブランディング支援に取り組む組合・団体5機関へのヒアリング調査、XR技術を活用した新たなブランディング手法の創出に向けた検討会の開催、有識者による検討委員会の設置という4つの方法で実施された。
アンケート調査の結果、デジタル技術活用に取り組んでいる企業は全体の38%であり、プロモーション実施段階での活用が最も多く82%であった。デジタル化に取り組んでいる企業のうち60%が何らかの成果を上げているが、40%は成果が出ていない状況である。デジタル化に着手できていない理由として「社内にデジタル活用を行う人材・スキルが不足している」が67%で最多であった。
地域資源のブランディングにおけるデジタル技術活用を効果的に推進するためのポイントとして、地域内のオープンデータの有効活用、地域へのアクセシビリティの向上、地域の実情に合った体制構築の3点が挙げられた。さらにMAP’S+Oモデルによる産地づくりの類型化により、マネージャー起点型、アグリゲーター起点型、プレイヤー起点型、サポーター起点型、オーガナイザー起点型の5つの体制パターンが分析された。
XR技術を活用した先端的なブランディングについても検討され、視覚・聴覚だけでなく嗅覚や触覚まで含めた体験提供により、地域の魅力をより効果的に伝えることができる可能性が示された。将来的にはメタバースの世界において、地域企業にとって必要不可欠なツールになると予想される。
産地が抱える課題として、地域内のオープンデータ活用における情報の新鮮さの維持、産地外とのネットワーク構築、地域の実情に合った適切な体制構築が挙げられた。これらの課題解決に向けた国の支援のあり方として、産地へのアクセシビリティ強化支援、地域内での新たなチャレンジを促す環境構築、デジタル技術に関する知見・スキルの向上支援、デジタル技術活用に対する予算確保支援、デジタル技術活用の効果を可視化・実感できる取組支援、先端技術を活用したブランディングへの支援の6つの方策が提案された。
