令和3年度地域・企業共生型ビジネス導入・創業促進事業 石見銀山エリアにおける観光資源を活用した地域一体型経営の仕組みを利用した事業計画の策定報告書
報告書概要
この報告は、石見銀山エリアにおける観光資源を活用した地域一体型経営の仕組みを利用した事業計画の策定について書かれた報告書である。島根県大田市大森町(人口400人)を中心とした石見銀山地域では、世界遺産登録から15年が経過し、観光客の大幅減少と地域内の連携不足により様々な課題が発生している。
観光入込数は世界遺産登録時の713,700人から令和2年には171,000人まで激減し、特に観光客の流れが龍源寺間歩に集中することで町並みエリアへの訪問者が減少している。また、駐車場から目的地までのアクセスの不便さ、世界遺産としての価値の理解不足、観光窓口の分散化といった問題により観光客の満足度も低下している。地域社会では空き家の増加、担い手不足、高齢化といった課題も深刻化している。
これらの課題解決に向けて、MAP’S+O(マネージャー、アグリゲーター、プレイヤー、サポーター、オーガナイザー)の連携体制による「地域一体型経営」を導入する事業計画を策定した。短期的には共通チケット化による収益向上、グリーンスローモビリティの運行、龍源寺間歩の運営改善、特定地域づくり事業協同組合の設立を実施する。中長期的には古民家の保存活用によるアルベルゴ・ディフーゾの展開や若者定住促進を図る計画である。
事業実施体制として石見銀山みらいコンソーシアムが中心となり、地域内外の関係者との連携を強化する。資金調達については複数の投資家候補からのヒアリングを実施し、ゼブラ式投資による持続可能な事業モデルの構築を目指している。2027年までに龍源寺間歩入館者15万人の回復を目標とし、その収益を地域の社会事業に還元する好循環を創出する。
本計画は「小さな町の文化的資源を元にした経済からの新しい社会発展」のモデルとして他地域への展開も想定している。地域住民の「穏やかさと賑わいの両立」を謳った大森町住民憲章を基本理念とし、世界遺産の価値を適切に活用しながら持続可能な地域づくりを実現することで、行政依存から脱却した住民主体の地域運営を目指すものである。