令和3年度石油・ガス供給等に係る保安対策調査等事業(高圧ガス設備耐震設計手法のさらなる高度化に向けた調査研究)報告書
報告書概要
この報告は、高圧ガス設備の耐震設計手法のさらなる高度化について書かれた調査研究報告書である。1995年兵庫県南部地震以降の大規模地震の頻発を受け、エネルギー基盤である高圧ガス設備の耐震性確保が重要課題となっている。平成30年に新耐震告示が制定され、サイトスペシフィック地震動を用いた合理的な耐震設計が認識された。本調査研究では、液状化地盤中の杭基礎及び耐震設計設備の地震時挙動評価と、高圧ガス設備のレベル2耐震性能評価法の見直しを主な検討項目としている。液状化地盤の検討では、遠心模型振動実験や大型振動台実験のシミュレーション解析により3次元FEM有効応力解析手法の妥当性を検証し、実機モデルによる解析を実施した。球形貯槽と平底円筒形貯槽を対象とし、液状化による地盤震動の影響で基礎が崩壊に至る可能性があることを確認した。梁ばねモデルによる簡易解析手法も構築し、有効応力解析結果との比較検討を行った。レベル2耐震性能評価法の見直しでは、応力解析手法、ノズル部評価、接合部評価、許容塑性率評価について検討を実施した。ノズル部では面積補償法によるパラメータスタディを行い、許容荷重算定式を提示した。接合部評価では球殻と支柱の接合部補強仕様案を作成し、その他の接合部についても調査を実施した。平底円筒形貯槽では構造流体連成解析により動液圧について検討し、現行基準との比較を行った。その他の検討として、レベル1地震動の見直し、地盤液状化規定の見直し、免震制振技術について検討を実施した。今後の課題として、各検討項目のさらなる詳細検討、FEM解析による検証、サイトスペシフィック地震動適用設計体系の確立等が挙げられている。