令和3年度重要技術管理体制強化事業(金属積層造形技術動向調査) 調査報告書
報告書概要
この報告は、金属積層造形技術の技術動向について書かれた報告書である。経済産業省の委託を受けてみずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社が実施した令和3年度重要技術管理体制強化事業の調査結果をまとめたものである。
調査では、国内外における最新技術開発動向、市場動向、サプライチェーンを対象として、積層造形装置メーカー、モニタリング技術企業、研究機関など12機関を詳細に分析している。技術面では、試作から生産への活用を見込んだ技術開発がトレンドとなっており、ソフトウェア・ハードウェア両面における周辺装置との連携、モニタリングによる欠陥発生の抑制、自動化技術の進展が確認された。
市場動向については、製造業で一般的に用いられる欧米の大手ソフトウェアメーカーがシェアを占有しており、装置メーカーとの協働による垂直連携が進められている状況が明らかになった。各社は元々の強みに加えて、生産用途でニーズが見込まれる造形品質の予測・検証につながるシミュレーション技術、設計・製造ワークフローの効率化・自動化技術の開発を進めている。
サプライチェーンの調査では、製造業の強いエリアに拠点が設けられる傾向があり、特に米国・ドイツ・中国がそれぞれの地域における中心となっている。一方で、フェロクロムやニッケルなど一部の金属種については、粉末の原料となる金属の輸出が特定国に偏っており、サプライチェーンリスクが想定される課題も指摘されている。材料技術面では、アルミ合金の利用拡大や環境負荷を軽減する技術開発がトレンドとなっており、材料と造形プロセスを併せて提供するためのユーザー側企業によるM&Aや連携が活発化している。
日本の競争力については、ハイレベルな要素技術に強みがある反面、国内ユーザーの不在によりシェア獲得に繋げられていない点が弱みとして挙げられている。
