令和3年度商取引・サービス環境の適正化に係る事業(電力先物市場等の在り方に関する調査)報告書

掲載日: 2022年7月21日
委託元: 経済産業省
担当課室: 商務・サービスグループ商品市場整備室
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令和3年度商取引・サービス環境の適正化に係る事業(電力先物市場等の在り方に関する調査)報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、電力先物市場とLNG先物市場を含むエネルギー先物市場の在り方について調査・検討した報告書である。電力小売全面自由化に伴い、JEPXスポット市場の価格変動リスクをヘッジする手段として電力先物市場の重要性が高まっており、2019年9月に東京商品取引所が電力先物商品を試験上場している。2021年1月のJEPXスポット価格高騰を受けて、電力先物市場への参加者数は127社まで増加し、取引量も着実に拡大している傾向にある。LNG先物については、既存の価格指標であるプラッツJKMを活用した発電マージンの固定化などのニーズが存在し、新たな総合エネルギー先物市場の構築が検討されている。欧州においては、MiFIDⅡ/MiFIR、MADⅡ/MAR、EMIRなどの包括的な規制枠組みが整備されており、電力市場における監視体制としてREMITが機能している。米国では商品取引所法(CEA)に基づく規制が行われ、CFTCとFERCが管轄権を分担して市場監視を実施している。海外では取引情報報告義務や法域外適用などの制度が確立されており、不公正取引の防止と市場の透明性確保が図られている。我が国においても、海外の主体が関与する取引形態の増加を踏まえ、商品先物取引法の体系見直しが必要とされている。今後は多くの参加者による流動性確保と信頼性ある価格形成を通じて、市場活性化の好循環を構築することが重要であり、規制の適正化により透明性の高い市場として発展させることが求められている。