令和3年度産業経済研究委託事業(デジタルヘルスに関する環境整備に係る調査)調査報告書

掲載日: 2022年7月21日
委託元: 経済産業省
担当課室: 商務・サービスグループヘルスケア産業課
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報告書概要

この報告は、日本の健康・医療・介護分野におけるデータ活用とデジタル技術の推進について書かれた報告書である。経済産業省による令和3年度産業経済研究委託事業として、個人情報保護法改正や次世代医療基盤法を踏まえた医療データ利活用の課題と方策を調査・検討したものである。

報告書は3つの主要テーマで構成されており、第一に次世代医療基盤法による健康・医療・介護データ活用について詳述している。この法律は医療機関から認定事業者に医療情報を提供し、匿名加工を経て研究開発に活用する仕組みを規定しており、現在2つの認定事業者が約123万人の医療情報を収集している。認定事業者は厳格な安全管理措置と審査委員会による利活用者の審査を通じて、医療分野の研究開発促進を図っている。

第二にDXを活用したtoCアプローチとして、PHR市場の動向と民間企業による個人向けヘルスケアサービスについて分析している。新型コロナウイルス感染症により遠隔医療やセルフメディケーションが浸透し、デジタル技術活用が促進される中での民間PHRサービスの展開状況を調査している。

第三に既存医療産業をサポートするサービスとして、オンライン診療の現状と課題を詳細に検討している。医師へのWebアンケート調査を実施し、オンライン診療における初診・再診の違い、必要な医学的情報、コミュニケーションの満足度について分析を行った。調査結果によると、コミュニケーションに満足している医師ほど診療に必要な情報を積極的に活用しており、お薬手帳や健康診断結果が有用な情報として評価されている。一方で初診時のオンライン診療では医学的情報の不足や診断の不安が課題として挙げられている。また2022年度診療報酬改定によりオンライン診療の点数が大幅に引き上げられ、実施要件も緩和された状況についても報告されている。