令和3年度産業経済研究委託事業経済政策の効果検証方法に係る調査(先端半導体の生産施設整備施策の効果検証に関する委託調査事業)
報告書概要
この報告書は、先端半導体の生産施設整備施策の効果検証に関する経済産業省の委託調査事業について書かれた報告書である。
経済産業省では、アフターコロナを見据えた世界各国の大規模産業政策の強化を受け、従来の小規模・単発・短期的財政出動から、多様化する社会課題解決を目的とした大規模・長期・計画的産業政策への移行を検討している。この背景のもと、特定高度情報通信技術活用システムの開発供給及び導入の促進に関する法律改正が令和3年12月に成立し、先端半導体生産施設整備等に係る計画認定と助成金交付を行うこととなった。
報告書では、当該施策の政策効果検証のため、3つの経済モデルを提案している。第一に直接的評価モデルでは、企業の計画等をベースに対象地域における税収及び雇用の増加を直接評価する。これには法人税、固定資産税、消費税、所得税等の税収への影響と、建設フェーズ及び運営フェーズにおける雇用への影響が含まれる。第二に産業連関分析では、産業連関表を用いて域内の他産業への波及効果を分析し、経済効果と雇用増加を推計する。第三にCGEモデルでは、他産業への波及効果を価格変化を通じた影響として分析し、経済政策前後の産業連関表の変化を考慮して、より包括的な経済効果を評価する。
各モデルには固有の特徴と留意点があり、直接的評価モデルは短期的な地域経済への直接的影響分析に適し、産業連関分析は産業間の関係が不変という前提で波及効果を計算し、CGEモデルは価格変化を通じた影響を考慮してマクロ経済変数への影響を包括的に分析できる。これらの分析手法により、先端半導体生産施設整備施策の効果を多角的に検証し、政策の見直しや継続的モニタリングに活用することが想定されている。