令和3年度内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(バイオコミュニティ形成に向けたベンチャーエコシステムの醸成に関する調査)調査報告書
報告書概要
この報告は、バイオコミュニティ形成に向けたベンチャーエコシステムの醸成について書かれた調査報告書である。日本政府が2019年に策定した「バイオ戦略」に基づき、2030年に世界最先端のバイオエコノミー社会を日本で実現することを目標として、バイオベンチャーを取り巻く現状と課題を詳細に分析している。
経済産業省産業構造審議会バイオ小委員会において、バイオエコノミー社会の実現には研究開発機関、製薬産業、素材産業等の事業会社・バイオベンチャー、医療機関を中心とした多様なプレイヤーの連携が不可欠であると結論づけられた。ヒト・モノ・カネ・情報の好循環を生み出すバイオコミュニティの形成が必要である。
本調査では世界と伍するグローバルバイオコミュニティの形成に向け、国内のアカデミアシーズの事業化促進とベンチャーエコシステムの醸成を図るため、特に資金調達やEXITに重点を置いてバイオベンチャーが抱える課題を分析している。日米欧のバイオベンチャーの現状把握、各国支援施策調査、税制比較、上場市場選択に影響する制度、製薬企業の投資スキーム、上場前の資金調達課題などを網羅的に調査した。
成功事例として、COVID-19ワクチン開発で注目されたBioNTechとModerna Therapeuticsが取り上げられている。BioNTechは2008年にドイツで設立され、2019年のNASDAQ上場により150百万ドルを調達し、累計約1,734百万ドルの資金調達に成功している。一方、Modernaは2010年に設立され、2018年のIPOで604百万ドルを調達し、累計約3,336百万ドルを調達している。両社ともメッセンジャーRNA技術を基盤とした医薬品開発を進めており、上場後も継続的な資金調達に成功している。
