令和3年度商取引・サービス環境の適正化に係る事業(生物化学産業に係る国内外動向調査)最終報告書
報告書概要
この報告は、バイオテクノロジー分野における国家安全保障上の重要性と産業基盤強化について書かれた報告書である。新型コロナウイルスの感染拡大により、mRNAワクチンの短期間での実用化に象徴されるように、バイオテクノロジーが国家安全保障をつかさどる重要技術として再認識されている。現在の主要プレーヤーは米国企業が大半を占めており、次世代シーケンサー等の技術領域では中国企業が台頭しているため、技術開発競争の激化が予想される状況にある。
報告書では、日本におけるバイオテクノロジー関連産業の基盤強化に向けて、主要国の政策動向、市場動向、研究開発動向を調査し、今後目指すべき政策の方向性と重点的に育成すべき技術分野を検討している。合成生物学については、酵素や遺伝子回路等の新しい生物学的実体を設計・構築する技術として位置付けられ、石油化学プロセスの代替や有用物質の高効率生産等の活用目的が示されている。
戦略的自律性の確保については、バリューチェーン全体を通して必要な技術・スキル・ノウハウを国内で確保できる状態を指し、戦略的不可欠性の確保については、特定領域で優位性を保有している状態を意味するものとして定義されている。日本が戦略的自律性と不可欠性を確保するための段階的な取組みとして、2025年から2035年にかけてファインケミカルやエネルギー分野等のセグメント別にアプローチすることが提案されている。
