令和3年度内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(工業炉のカーボンニュートラル対応に向けた動向調査)調査報告書
報告書概要
この報告は、工業炉のカーボンニュートラル対応に向けた動向調査について書かれた報告書である。
本調査は、令和3年度内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業として株式会社富士経済が実施したものである。平成26年度調査における工業炉分類の課題を受けて、燃料転換や複数熱源を有するハイブリッド炉の存在などの最新動向に対応するため、より正確な工業炉の分類と二酸化炭素排出量の推計方法を確立することを目的としている。
調査では三つの主要な項目が設定されている。第一に工業炉のカーボンニュートラル化の前提となる項目の洗い出しであり、新工業炉カテゴリーの作成と新推計・シミュレーション方法の確立を含む。工業炉を燃焼炉と電気炉に大別し、さらに電気炉を誘導加熱と抵抗炉に分類した上で、廃熱回収、原材料予熱、断熱強化、誘導加熱、誘導溶解といった省エネ型要素技術を割り当てて新たな炉形態区分を構築した。
第二に工業炉についての国内外の技術動向とエネルギー使用状況の調査であり、日本、EU、米国を対象として省エネ技術の開発動向やエネルギー消費実態を分析している。電化、水素対応などの省エネ技術の整理や、技術導入における阻害要因の特定が行われた。
第三に工業炉のカーボンニュートラル化に係る諸外国の政策動向の調査であり、EUを中心とした政策分析を通じてカーボンニュートラル達成に向けた工業炉の位置づけと方向性を検討している。また、開発・普及支援プロジェクトや普及支援体制についても調査が実施された。これらの結果を基に、工業炉におけるカーボンニュートラル達成に向けた総合的な分析と提案が行われている。
