令和3年度中堅・中小企業輸出ビジネスモデル調査・実証事業(EC活用型輸出実現可能性調査)調査報告書

掲載日: 2022年7月29日
委託元: 経済産業省
担当課室: 貿易経済協力局貿易振興課
元の掲載ページ: 掲載元を見る
令和3年度中堅・中小企業輸出ビジネスモデル調査・実証事業(EC活用型輸出実現可能性調査)調査報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、中堅・中小企業のEC活用型輸出実現可能性について書かれた調査報告書である。令和3年度に経済産業省の委託により有限責任監査法人トーマツが実施した調査であり、コロナ禍を受けたEC市場の急速な拡大と多様化を背景として、日本の中堅・中小企業による越境ECを活用した輸出促進を目的としている。

調査では、EC市場規模上位4カ国(日本、中国、韓国、米国)を対象として、各国のEC輸出概況と支援策を比較分析した。その結果、日本は世界第2位のEC売上額を誇るものの、95%をBtoBが占めており、BtoCのEC化が進んでいないことが明らかとなった。また、日本では他国と比較して数多くの支援施策が講じられているが、通関手続きや物流に関する支援が不十分であることが判明した。特に韓国と中国では、通関手続きのデジタル化や物流コスト削減のためのシステム構築が進んでいる。

2030年に向けたKPI設定については、中小企業の越境EC輸出額を直接観測できる統計データが存在しないため、公益法人のアンケート調査および政府系類似統計を用いた予測手法を提案している。KPI達成による経済波及効果分析では、産業連関分析を用いて一次・二次効果額や地域別効果を算出し、EC輸出を実施する中小企業数の増加予測も行った。

報告書では、越境ECにおける主要課題として物流面での商品の不着・破損、通関手続きの煩雑さ、在庫管理、配送での破損リスク、為替リスクなどが挙げられている。これらの課題解決に向けて、海外物流センターの設置、通関手続きのデジタル化推進、配送日数短縮やコスト低減のための施策実施が提言されている。