令和3年度「新エネルギー等の導入促進のための広報等事業委託費における再エネ導入・運転人材育成支援事業(木質バイオマス発電における人材育成)」報告書
報告書概要
この報告は、木質バイオマス発電における人材育成について書かれた報告書である。再生可能エネルギーの主力電源化に向けて、設備の導入から運営を担うエンジニア人材の育成が急務となっており、特に木質バイオマス発電の安定的・効率的な運営に必要な技術者を育成するための研修用技術資料およびカリキュラムの作成を目的としている。調査は一般社団法人日本木質バイオマスエネルギー協会が実施し、発電所事例調査として10か所の木質バイオマス発電所に対してヒアリング調査を行い、稼働状況や技術的課題への取組状況、人材育成の実施状況について分析した。また、プラントメーカー4社に対しても技術的課題やメンテナンス状況についてヒアリングを実施した。検討委員会を設置し、木質バイオマス利活用システムや発電事業経営などの専門家8名による検討を行った。人材育成研修テキストを作成し、序論から地域共生・レジリエンス強化まで6章構成で、発電所運転管理者および運転作業員をターゲットとした内容となっている。研修カリキュラム案として基礎コースと指導者育成コースを設定し、基礎コースについては模擬研修会を実施して21名の参加者からアンケートを収集した。調査結果から、木質バイオマス発電所の設備利用率向上が重要な課題であり、ボイラー・タービン主任技術者や電気主任技術者などの有資格者確保が困難であることが明らかになった。技術的課題としてはボイラー系統のトラブルが多く、特に木質バイオマス特有の燃料品質管理や燃焼制御が重要である。人材育成については、大規模発電事業者の体系的な教育体制や火力原子力発電技術協会の活動を参考に、木質バイオマス発電に特化した研修システムの構築が必要である。最終的に、木質バイオマス発電技術者として求められる人材像を明確化し、技術人材の階層構造に応じた研修カリキュラムを提案している。
