令和3年度新エネルギー等の導入促進のための広報等事業(再エネ導入・運転人材育成支援事業(メタン発酵バイオガス発電における人材育成調査))事業報告書(概要版)
報告書概要
この報告は、令和3年度新エネルギー等の導入促進のための広報等事業として実施された、メタン発酵バイオガス発電における人材育成調査について書かれた報告書である。一般社団法人日本有機資源協会が実施主体となり、バイオガス発電施設における人材不足やFITからFIPへの移行などの課題を背景として、現場で運転維持費を削減し設備利用率を向上させる人材を育成するためのツール整備を目的としている。
東京大学の芋生憲司教授を委員長とする検討委員会を設置し、2021年6月から2022年2月にかけて5回の委員会を開催した。事業内容として、全国15事業所へのヒアリング調査を実施し、稼働状況や技術的課題への取り組み、人材育成の実施状況を調査した。さらに各工程におけるトラブル対応に関するアンケート調査により、合計100件のトラブル事例を収集し、原料受入れ設備と前処理設備で30%、メタン発酵槽で25%、発電装置で11%という内訳でトラブル事例を分析した。
調査結果を基に238ページの人材育成研修テキストを作成し、メタン発酵技術の基礎知識から事業化のポイント、運転管理上の課題と対策、副産物・バイオガスの利用まで5章構成でまとめた。2022年1月には模擬研修会を開催し、会場とオンライン併用で50名が参加した。模擬研修会では講義時間と質疑のバランス、現場視察の必要性、受講対象者の適切な把握などの課題が抽出された。
これらの結果を踏まえ、座学2日間とオプションの現地視察を組み合わせた研修カリキュラム案を作成した。メタン発酵バイオガス発電システムの全体像から始まり、関連法規、政策動向、発酵残さ利用、トラブル事例とその対応まで実践的な内容を盛り込んでいる。研修対象者はプラント運転作業員や運転管理者、プラントメーカー技術者、事業者、自治体担当者とし、段階的なレベルアップを図る仕組みを提案している。
