令和3年度新エネルギー等の導入促進のための広報等事業(再エネ導入・運転人材育成支援事業(メタン発酵バイオガス発電における人材育成調査))事業報告書

掲載日: 2022年7月29日
委託元: 経済産業省
担当課室: 資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部新エネルギー課
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令和3年度新エネルギー等の導入促進のための広報等事業(再エネ導入・運転人材育成支援事業(メタン発酵バイオガス発電における人材育成調査))事業報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、メタン発酵バイオガス発電における人材育成支援事業について書かれた報告書である。バイオガス発電施設において深刻化する人材不足、特に機器の故障時に迅速な復旧対応ができる技術者の不足により、発電停止による収益悪化という悪循環が発生している現状を背景として、本事業が実施された。FIT制度からFIP制度への移行、ブラックアウト対応や地域レジリエンス向上への要求、設備利用率向上と運転維持費削減の必要性が高まる中、現場で最適な施設運転をリーダーとして遂行できる人材を育成するためのツール整備を目的としている。事業は3つの柱で構成されており、まず15の事業所に対してヒアリング調査を実施し、運転管理上の課題やトラブル事例を収集した。調査対象は原料種別、施設規模、実施主体、地域特性等を幅広く網羅し、家畜排せつ物、食品廃棄物、下水汚泥等を原料とする25kWから1000kWまでの多様な施設を対象とした。次に、収集した100件のトラブル事例を体系的に整理し、メタン発酵バイオガス発電の基礎から運転管理、政策動向、発酵残さ利用まで包括的な内容を含む人材育成テキストを作成した。さらに、実践的な研修カリキュラム案として、基礎的な座学研修と現地視察・実習を組み合わせた段階的な研修体系を提案した。調査結果から、メタン発酵施設の運転技術ノウハウは各事業者が個別に手探りで獲得している実態が明らかとなり、稼働開始から安定運転まで約2年間の試行錯誤期間が必要であることが判明した。これらの運転ノウハウを業界全体で共有することにより効率的な人材育成が可能となり、設備利用率向上と運転維持費削減、ひいては再生可能エネルギー導入拡大と脱炭素化への貢献が期待される。