令和3年度質の高いエネルギーインフラの海外展開に向けた事業実施可能性調査事業(脱炭素移行政策誘導型インフラ輸出支援に向けた水素等の技術動向調査)調査報告書(公表版)

掲載日: 2022年7月29日
委託元: 経済産業省
担当課室: 製造産業局通商室
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令和3年度質の高いエネルギーインフラの海外展開に向けた事業実施可能性調査事業(脱炭素移行政策誘導型インフラ輸出支援に向けた水素等の技術動向調査)調査報告書(公表版)のサムネイル

報告書概要

この報告は、日本の水素・アンモニアに関する需要予測と海外展開戦略について書かれた報告書である。

経済産業省が2022年に実施した調査では、2050年のカーボンニュートラル実現に向けた水素技術の海外展開可能性を分析している。日本における水素需要は2050年に約1,600万トン超の規模となり、製造業では鉄鋼部門で773万トン、化学工業部門で299万トンと合計1,000万トン超、製造業以外では発電部門で577-637万トンが見込まれる。

世界的な水素供給状況では、2030年における全体供給量は3,265万トン程度となり、欧州、中東、豪州、北米が主要供給地域となる。これらの地域では需要以上の供給余力があり、日本を含むアジアへの輸出が想定される。欧州ではグリーン水素を中心に活用され、ブルー水素はアジア地域に輸出される流れとなる可能性が高い。

日本企業の技術的優位性として、海外から海上輸送する長距離輸送技術において世界に先行している。特に液化水素とMCHについては日本企業が独自技術を保有しており、海上輸送技術では先行的地位にある。一方、海外企業はグリーン水素製造における水電解装置の大型化で先行している。

水素供給の課題は多岐にわたり、製造では再生可能エネルギー資源の確保やCCSの環境評価制度・技術確立、輸送・貯蔵では設備の大型化とオペレーションを含めた社会実装、サプライチェーン全体では産業・地域毎のニーズを汲み取った供給体制最適化が主要課題である。

今後のインフラ海外展開戦略として、日本は水素供給課題を解決し、需要創出とともに海上輸送チェーンを先行構築してモデルをインフラパッケージとして確立することが提言されている。その上で東アジア・東南アジア諸国向けにパッケージ展開し、アジアにおける輸送ハブ機能構築にも取り組む方針が示されている。