令和3年度質の高いインフラの海外展開に向けた事業実施可能性調査事業フィリピン国・道路インフラのデジタル化および関連施設開発による交通流制御・創出事業の実現可能性調査最終報告書

報告書概要

この報告は、フィリピン国における道路インフラのデジタル化及び関連施設開発による交通流制御・創出事業の実現可能性について書かれた報告書である。

フィリピン・マニラでは経済成長に伴い高速道路の交通量が年々増加しており、Covid-19の感染防止の観点からも公共交通から個別交通へのシフトが加速している状況である。同時に、フィリピン政府は高速道路料金の全面キャッシュレス化を目指すなど道路インフラのスマート化・デジタル化を推進している。しかしながら、マニラは世界の渋滞ワーストランキングで4位に位置づけられ、効率的且つ実行性ある交通流制御の構築やインフラ開発が遅れている現状がある。

本事業は、日本の優れた高度道路交通システム(ITS)やサービスエリア(SA)運営の知見を活かし、フィリピンにおける道路インフラのデジタル・スマート化事業、並びに交通流制御や需要取り込みのための調整弁・ハブとしてのSA事業の実現可能性を検証することを目的としている。

調査は大きく二つのテーマで構成されている。第一に、三井物産・NEXCO中日本が国内外で培ったITS知見を踏まえたデジタルソリューション導入の実現可能性調査と関連規制調査である。第二に、データによる現状の交通流や顧客行動の分析に基づき、NEXCO中日本をはじめとする国内外で培ったSAノウハウを踏まえたテナントミックス分析や関連サービスの輸出可能性検討である。

フィリピンは人口の40%以上が20歳未満で2050年まで人口ボーナス期が継続し、GDP成長率は毎年平均6%強の高い成長率を誇っている。一人当たりGDPは現在3,000ドル強の水準にあり、2026年以降には5,000ドルに近い水準に達すると予測されており、これに伴い自動車保有台数の増加と道路需要の拡大が見込まれている。