令和3年度中小企業サイバーセキュリティ対策促進事業(中国地域におけるセキュリティコミュニティ形成事業)事業報告書
報告書概要
この報告は、中国経済産業局が委託した中小企業サイバーセキュリティ対策促進事業について書かれた報告書である。令和3年度に株式会社アシストが受託し、IoTやAI等の利活用が進む中で増加するサイバー攻撃から中小企業を守るための人材育成と啓発活動を実施した事業の詳細が記載されている。
事業の背景として、新型コロナウイルス対応によるテレワーク普及でサイバー攻撃の脅威が増大する中、中国地域では大都市圏と比較してサイバーセキュリティ人材や学習機会が不足していることが課題となっていた。そのため本事業では、中国地域サイバーセキュリティ連絡会やセキュリティ人材育成WGといった既存のコミュニティ基盤を活用し、地域全体のセキュリティレベル向上を目指した。
事業内容は主に二つの柱から構成されている。一つ目は社会人セキュリティ人材育成講座で、広島市立大学と岡山大学と連携してオンラインでPBL演習を実施した。広島市立大学ではサイバーセキュリティ入門演習を2回開催し、マルウェアの状況や感染実例について講義形式で学習した。岡山大学では前後編2日間のマルウェア対策実践演習を行い、BadUSBやRaspberry Piなどの教材キットを用いた実体験型の学習を提供した。
二つ目は中国地域サイバーセキュリティセミナー2022の開催で、名和利男氏による基調講演をはじめとする最新動向を踏まえた内容をオンラインで配信した。参加申込者数は定員を大幅に上回る好評を得た。
実施結果では、両講座とも高い参加率を記録し、受講者アンケートからはサイバーセキュリティの重要性を再認識したという声が多数寄せられた。一方で、人材不足や予算不足、対策効果の測定困難といった具体的な課題も明らかになった。また、より具体的な事例や対処方法、外部サポート情報を求める声も多く、今後の展望として定期的な開催や対象者別のセミナー内容検討が提案されている。
