令和3年度商取引・サービス環境の適正化に係る事業(民間PHRサービス等の利活用促進に関する調査事業)報告書
報告書概要
この報告は、民間PHRサービス等の利活用促進に関する調査について書かれた報告書である。
国民が自らの保健医療情報を活用して予防・健康づくりを行うPHRサービスへの期待が高まる中、AI技術やウェアラブル機器の進展により多数の民間事業者がサービスを提供している状況にある。政府は2021年4月に「民間PHR事業者による健診等情報の取扱いに関する基本的指針」を策定し、適切な利活用ルールを整備した。本調査は基本的指針の普及・改定の必要性検討およびサービスガイドライン策定支援を目的としている。
PHRサービス普及促進に関する調査では、相互運用性、安全性、PHR事業者・業界団体の役割、PHR市場の活性化という4つの論点を検討した。相互運用性については事業者間での直接的なデータ連携の拡大、情報種別ごとの名称・単位統一、通信規格の標準化が課題となっている。安全性に関しては第三者による証明方法の具体化、利用者による改ざん防止対策の検討が必要である。PHR事業者・業界団体については要件遵守の担保方法として第三者証明の実施、業界団体によるガイドライン策定が求められている。
遠隔健康相談サービスについては、実態調査を通じてビジネスモデルの整理と課題の抽出を行った。B to Cモデルでの収益化は困難であり、多くの事業者がB to B(G) to Cモデルにシフトしている傾向が見られる。企業の福利厚生や自治体の住民サービスとして提供される場合には需要拡大の傾向があるものの、サービスの認知度向上と信頼性確保が普及に向けた重要な課題となっている。
