令和3年度産業経済研究委託事業(我が国における政策デザインの在り方等に係る調査支援及び実証事業)調査報告書(英語版)
報告書概要
この報告は、政府機関におけるデザイン思考とイノベーション手法の導入について書かれた報告書である。デンマークのヴィノヴァ、シンガポールの首相府イノベーション・ラボ、台湾のTDRIなど複数の政府系組織における変革への取り組みが分析されている。政府は技術革新や社会変化に対応するため、従来の政策立案手法を見直し、より適応性の高いアプローチを採用する必要があるとされている。デンマークでは日本の建築基準法を参考に都市の新陳代謝を加速させる手法が検討され、システム的・戦略的な働き方により既存インフラを活用した変革が模索されている。シンガポールでは7名のイノベーション・ラボが「変革の理由」を明確にし、市民の期待に応えるための効率的な公共サービス提供を目指している。デザインの価値は複雑化する世界における多角的視点の理解にあり、従来の政策立案で欠けていた「なぜ」の視点を補完する役割を果たしている。台湾のTDRIは150名の組織で約半数がデザイナーや研究者であり、台湾の国際競争力向上を目的として「メイド・イン・台湾」から「デザイン・イン・台湾」への転換を推進している。これらの組織では単一チームではなくネットワーク型の能力構築が重視され、デザイン思考の普及とともに組織間協力の促進が図られている。
