令和3年度中小企業実態調査事業(中小企業事業再生・廃業調査事業(事業再生rebranding事業))政策デザイン提言

掲載日: 2022年8月3日
委託元: 経済産業省
担当課室: 中小企業庁事業環境部金融課
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令和3年度中小企業実態調査事業(中小企業事業再生・廃業調査事業(事業再生rebranding事業))政策デザイン提言のサムネイル

報告書概要

この報告は、新型コロナウイルス感染症の影響下における中小企業の事業再生に関するイメージ改革について書かれた報告書である。新型コロナの影響により、政府系金融機関及び信用保証協会による融資・保証承諾実績が約280万件、約52兆円に上る一方で、2020年の休廃業・解散企業は4万9,698件と過去最多を記録した。過剰債務を抱えた中小企業をどのように経済復帰させるかが重要な課題となっている。東京商工リサーチの調査によると、中小企業の6.9%が抜本再生の検討可能性があると回答し、これは約20万社に相当する。しかし事業再生を検討する企業の45.22%が手続きが現在の事業や取引に影響を与えないことを重視しており、事業価値の毀損を懸念している。また業績不振時のメインバンクへの相談が遅れることで、経営再建の可能性を逸してしまう企業も多い。実際に事業再生を経験した経営者や支援者へのワークショップを通じて、「事業再生」という言葉そのものがネガティブなイメージを持たれていることが明らかになった。このため本事業では、私的整理による事業再生に対する理解促進と、事業再生のイメージを変革するための政策デザインを提言している。具体的には中小企業再生支援協議会のブランディング強化、統一ロゴデザインの作成、広報人材の育成、ポータルサイトの制作などを通じて、経営者が早期に事業再生を決断できる社会環境の実現を目指している。事業再生を企業延命の施策ではなく、企業成長につなげる経営判断として捉える認識の転換が重要であると結論づけている。