令和3年度ヘルスケア産業国際展開推進事業(医療国際展開推進事業)報告書
報告書概要
この報告は、令和3年度におけるヘルスケア産業国際展開推進事業について書かれた報告書である。
新型コロナウイルスの影響により外国人旅客が大幅に減少する中、アフターコロナに向けた医療インバウンド促進の具体的施策を検討し実施した事業の成果がまとめられている。本事業では日本への医療渡航促進に向けた課題調査と潜在顧客開拓という二つの主要テーマに取り組んでいる。
課題調査においては、医療渡航推進に向けた課題を包括的に洗い出し、戦略・ビジョン、法規制、ケイパビリティ、マーケティング、オペレーションの5つの領域に分類して整理した。特にマーケティング分野に焦点を当て、課題解決のインパクトと実現性を評価軸として優先順位を付けて調査を実施している。
中国人患者を主要ターゲットとして設定し、医療滞在ビザ発給実績から中国が全体の7-8割を占めることを確認した。中国のアッパーミドル層の拡大と医療渡航市場の成長性を分析し、10名の中国人医療渡航経験者・検討者への深掘りインタビューを通じて顧客の意思決定プロセスを解明している。調査結果から、患者が渡航先決定において医療コーディネーターや現地医師ではなく自ら情報収集を行い、検索エンジンやSNS、病院ウェブサイトの直観的情報を重視することが明らかになった。
潜在顧客開拓では、中国の渡航支援企業との商談会を開催し、国内医療機関12機関と中国医療コーディネーター14社による個別商談を実施した。参加医療機関のほとんどが新たな販路開拓を実現し、継続的な連携体制の構築に成功している。
ベトナムとの連携においては、バクマイ病院との協議を通じて送患における課題を特定し、オンラインセカンドオピニオンの促進や医師向け研修の実施など具体的な施策案を策定した。これらの取組により、アフターコロナに向けた医療インバウンド促進の基盤整備と効果的なマーケティング戦略の方向性が示されている。
