令和3年度中小製造業の競争力強化に向けた協議・連携及び事業再編に関する調査事業報告書

掲載日: 2022年8月19日
委託元: 経済産業省
担当課室: 中部経済産業局産業部製造産業課自動車関連産業室
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報告書概要

この報告は、中小製造業の競争力強化に向けた協業・連携及び事業再編に関する調査について書かれた報告書である。経済産業省中部経済産業局による令和3年度の調査事業として、株式会社エヌ・ティ・ティ・データ経営研究所が実施したものである。調査は令和3年9月から令和4年3月にかけて実施され、中小製造業を取り巻く経営環境の分析と、協業・連携及びM&Aの有効性について検証を行った。

調査の背景として、我が国製造業は業種別GDP構成比20.7%を占める重要産業であるが、デジタル化の急速な進展、カーボンニュートラル対応、自動車産業の大変革、新型コロナウイルス感染症の影響により、産業構造が大きく変化している状況がある。従来の大企業を頂点としたピラミッド型サプライチェーンが変化し、中小製造業にはより多様な要望に対応するワンストップ対応力の向上と事業領域拡大が求められている。

中小製造業の経営環境を分析した結果、売上高は2018年第3四半期をピークに減少基調にあり、2020年第2四半期には新型コロナウイルス感染症の影響で大幅に落ち込んだ。経営者の高齢化も進んでおり、60歳代以上が約6割を占め、事業承継が課題となっている。設備投資実施割合は2019年まで改善していたが、コロナ禍以降は低下基調にある。資金繰りについても不透明感が残る状況である。

調査では20者超の関係者にヒアリングを実施し、協業・連携及びM&Aの実際の取組や課題認識を整理した。その結果、これらの手法は中小製造業の競争力強化において有効な打ち手の一つであることが検証された。特に、一度協業・連携やM&Aを経験した企業は次の取組への姿勢が強く、リスクを取る重要性が認識されている。

行政に求められる役割として、情報発信の強化、リアルな場の設定、支援機能の拡充の3つが挙げられた。特に支援機能の拡充では、マッチング機能、売り手の不安解消、対応可能な業務範囲の周知、個別領域のサポート、伴走支援が重要である。中小製造業における協業・連携及びM&Aの促進には、公的機関による信頼性の高い支援が不可欠であり、将来業界像の発信や相談機能の拡充が強力な第一歩となるとしている。