令和3年度中堅・中小自動車部品サプライヤーの戦略策定支援を通じた経営力強化事業報告書

掲載日: 2022年8月19日
委託元: 経済産業省
担当課室: 中部経済産業局産業部製造産業課自動車関連産業室
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報告書概要

この報告は、令和3年度に経済産業省中部経済産業局が実施した中堅・中小自動車部品サプライヤーの戦略策定支援事業について書かれた報告書である。CASE・MaaS の進展により自動車産業の付加価値がソフトウェアや電動化部品へ移行する中、既存の内燃機関関連部品の付加価値が相対的に低下している現状を受けて実施された。事業では地域の中堅・中小自動車部品サプライヤー企業が提案型企業への成長を遂げるため、自社の強み・課題の認識と戦略策定を支援することを目的とした。

支援対象企業の募集は令和3年11月に実施され、7社の応募から愛知県の塗装業A社、岐阜県のプラスチック製品製造B社、愛知県のパイプ加工部品製造C社、富山県の自動車部品製造D社の4社を選定した。各社への支援は3回から4回の討議形式で行われ、課題認識の把握、SWOT分析による強み・弱みの可視化、戦略・施策の検討というプロセスで実施された。

支援を通じて確認された共通課題は、外部環境変化への対応優先順位の特定困難、営業・企画態勢の不足、新規事業創出力の不足、バックキャスティング思考の未定着である。これらの課題に対し、企業側では営業・企画態勢の拡充と新事業の創出検討、ステークホルダー側では従来の財務や技術支援を超えた課題可視化・優先順位付け機能の提供、行政側では業界将来像の発信と横展開支援が必要であると整理された。

報告書では各社の位置づけを課題認識の鮮明さと解決推進力の軸でマッピングし、それぞれの状況に応じた支援策を提案している。中堅・中小自動車部品サプライヤー企業は従来の重層的業界構造により効率性重視の経営を行ってきたが、カーボンニュートラル宣言を機に短期間での経営転換が求められるようになった。このような環境変化に対応するためには、企業単独ではなく関係者一同となった支援・連携が不可欠であると結論付けている。