令和3年度化学物質安全対策(代替フロン分野における2050カーボンニュートラル実現に向けた基盤調査)報告書
報告書概要
この報告は、代替フロン分野における2050カーボンニュートラル実現に向けた基盤調査について書かれた報告書である。
世界的なカーボンニュートラルの潮流を受け、我が国も2050年カーボンニュートラルの実現を宣言している。エネルギー起源のCO2排出量は減少している一方で、特定フロンから代替フロンへの転換に伴い代替フロンの排出量は増加傾向が続いており、フルオロカーボンの排出削減が急務となっている状況である。
本調査では、デジタル技術の活用や政策指標の明確化を中心に、3つの主要な検討項目について調査を実施した。第一に、IoT機器による遠隔監視システムの導入・普及に向けた課題整理である。業務用冷凍空調機器からの冷媒漏えい量の約7割が使用時漏えいによるものであり、IoTセンサやネットワークを用いた遠隔監視システムの活用が求められているが、既設機器への導入・普及は進んでいない現状がある。
第二に、フロン排出量算出モデルの見直しの検討である。2050カーボンニュートラルの目標達成に向けた政策の優先順位を検討するため、より精緻で正確な排出量の把握が必要となっており、新たな排出削減目標に基づく将来見通しや政策効果が適切に反映されるよう算出モデルの見直しを行った。
第三に、需給逼迫の影響を受ける可能性があるエンドユーザーの検討である。モントリオール議定書キガリ改正に基づく蛇口規制により高GWP冷媒の供給が減少することから、現在市中にある冷凍空調機器の補充用冷媒が不足する問題が懸念される。そのため、主要なユーザー業界毎に基礎情報の収集を行い、冷媒不足が生じる可能性があるセグメントを検討した。調査にあたっては、業界団体の協力を得てアンケート調査を実施し、展示会での情報収集も行った。
