令和3年度内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(中国・ドイツ・韓国製造業の人材育成に関する調査)報告書

掲載日: 2022年8月26日
委託元: 経済産業省
担当課室: 貿易経済協力局技術・人材協力課
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令和3年度内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(中国・ドイツ・韓国製造業の人材育成に関する調査)報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、中国・ドイツ・韓国における途上国製造業人材育成の取組に関する国際経済調査について書かれた報告書である。日本の戦略的なODA活用と政策立案に向けて、これら3カ国の途上国支援における技術協力や人材育成制度、資金支援ツールを包括的に調査している。

中国は「人類運命共同体」構築と「一帯一路」構想の下で、南南協力の枠組みで途上国支援を展開している。特に魯班工坊(Luban Workshop)を通じた職業教育モデルの海外輸出を重視し、中国企業との連携により現地技術人材を育成することで、自国の工業規格や技術の国際的拡大を図っている。産官学が戦略的に連携したオール・チャイナ体制で、政治・経済・文化のあらゆる面から中国の世界的地位向上を推進している。

ドイツはDual VETシステムを基盤とした職業訓練を途上国に展開しており、商工会議所との強力な連携が特徴である。地域機関や国際機関との戦略的協力を重視し、オールドイツでのTVET国際協力を推進している。韓国は自国産業の強みを活かしたITC・自動車整備・太陽光発電分野での支援を行い、デジタル技術を用いた教育に注力している。現代・KOICAドリームセンターでは民間企業と連携し、労働市場に適合した人材育成を実現している。

調査結果から得られた示唆として、各国とも戦略性の高い分野・地域を定めた支援を実施しており、特にデジタル・ICT分野は日本とも重複する重点領域となっている。報告書は日本の今後の途上国産業人材育成について、いたずらな競合を避けて補完的なプログラム提供、民間企業との協力強化、関係機関の連携促進、国際機関との戦略的協力、現地教育機関との連携拡大、遠隔指導の導入といった政策提言を行っている。