令和3年度産業保安等技術基準策定研究開発等事業(電気保安分野における保安力評価に関する調査事業)報告書
報告書概要
この報告は、経済産業省による電気保安分野における保安力評価制度の創設に関する調査研究について書かれた報告書である。
電力システム改革により多様な事業者が参入する中、従来の一律規制から事業者の保安能力に応じた柔軟な規制制度への転換が求められている。この背景を受けて、高度な保安能力を有する事業者に対する新たな認定制度の創設が検討されている。
新認定制度では「テクノロジーを活用しつつ、自立的に高度な保安を確保できる事業者」を対象とし、「経営トップのコミットメント」「高度なリスク管理体制」「テクノロジーの活用」「サイバーセキュリティ等関連リスクへの対応」の四つの要件を審査基準とする。認定を受けた事業者は、保安規程の届出や主任技術者選任の手続き省略、安全管理審査の免除、定期事業者検査の周期設定の自由化等の規制緩和を受けることができる。
調査では、ISO9001や高圧ガス保安法のスーパー認定事業所制度等の既存制度を参考に、電気保安分野に適した能力評価手法を検討した。また、有識者や業界団体、事業者へのヒアリング調査を実施し、制度設計に必要な情報を収集した。さらに五回にわたる検討委員会を開催し、専門家による議論を通じて審査項目案を精緻化した。その結果として、四つの要件それぞれに対応する具体的な審査項目案が策定され、今後の制度化に向けた基盤が整備された。