令和3年度九州地域の持続可能な発展に向けたソリューション及びマッチング調査事業 調査報告書概要版
報告書概要
この報告は、九州地域の持続可能な発展に向けたソリューション及びマッチング調査事業について書かれた報告書である。経済産業省九州経済産業局が令和3年度に実施した本事業は、九州の地域企業に対するSDGs経営の浸透と、BCP(事業継続計画)・防災に関する課題解決を目的として展開された。事業は4つの柱から構成されており、ソリューション・スキル調査、オンラインセミナー、マッチングイベント、九州SDGs経営推進フォーラム総会・シンポジウムの開催が実施された。
調査分析の結果、九州7県の企業1,000社を対象としたアンケートにより、BCP策定済み企業は27.6%であり、前年の17.2%から大幅に向上したことが判明した。しかし、BCPの従業員への浸透については6割程度にとどまり、ソフト面での課題が浮き彫りとなった。他社に提供可能なソリューション・スキルとしては、太陽光発電システムなど自家発電設備の設置・販売・メンテナンスが29.6%で最多であり、ハード販売が中心となっている状況が明らかになった。
オンラインセミナーは全3回開催され、第1回115名、第2回100名、第3回80名が参加した。マッチングイベントでは65名が参加し、株式会社三好不動産、森永製菓株式会社、株式会社かんがえる防災の3社が登壇し、それぞれ災害発生後の住宅提供、防災訴求売場づくり、テーラーメイド型防災コンサルタントサービスについてプレゼンテーションを行った。個別相談会では各登壇企業が4~5社と面談し、多くが継続協議となった。
事業全体の総括として、全てのイベントで8割を超える高い満足度を得るとともに、参加者がSDGsを自分事として捉える傾向が強く見られた。地域課題解決を目指したパートナーシップ構築の可能性が高まった一方で、様々な主体とのリンケージや結節点となる仲介役の必要性が明らかになった。今後の課題として、経営トップが参画する学びの場の提供、パートナーシップの仲介支援の充実、マッチング精度の向上が挙げられている。