令和3年度企業による価値共創事業の実態調査報告書
報告書概要
この報告は、令和3年度に経済産業省近畿経済産業局が実施した企業による価値共創事業の実態調査について書かれた報告書である。デジタル化の進展や新型コロナウイルス感染症の世界的蔓延により、ウィズコロナ・ポストコロナ時代における構造転換への対応とSociety5.0の実現に向けて、企業におけるオープンイノベーションの取り組みが増加している現状が背景となっている。従来のオープンイノベーションは研究開発領域中心であったが、現在では製品・サービス開発やビジネスモデル構築など幅広い領域に活用され、新事業・新市場創出にも拡大している。また、SDGs達成等を目標とした社会課題解決のためにオープンイノベーションを活用する企業も現れている。この変化により、従来の「ニーズオリエンテッド」や「シーズオリエンテッド」の1対1の形態では課題解決が困難となり、多対多の形で異業種やスタートアップなどと積極的につながる動きが見られるようになった。消費者ニーズの多様化と経済的価値以外の多様な価値が重視される中、企業は従前のサプライチェーン構造における系列関係にとらわれず、実現したい将来の「あるべき姿」を目指し、共に価値を創造するパートナーとともにイノベーションを生み出す新しい形の構築が期待されている。しかし、そうした価値共創の概念は企業に十分浸透していないのが現状である。本調査では、企業を中心とした価値共創事例を収集・分析することで、価値共創事業の実態を明らかにし、関西企業の価値共創によるオープンイノベーション推進を支援することを目的としている。