令和3年度燃料安定供給対策に関する調査事業(国内石油製品取引慣行等に関する調査)調査報告書
報告書概要
この報告は、国内石油製品取引慣行等に関する調査について書かれた報告書である。石油業界では平成27年頃から元売が系列SS事業者向けに通知する仕切価格が原油コストの変動幅より高値で変動し、市場実態と合わず事後的に修正される建値化現象が発生していた。この状況はSS事業者のコスト意識に基づく自主的・合理的な経営を阻害するため、資源エネルギー庁は平成29年3月に「ガソリン適正取引慣行ガイドライン」を策定した。本調査では仕切価格の建値化や事後調整の実態を把握するため、元売と特約店間、特約店と販売店間の取引慣行についてアンケート調査やヒアリング調査を実施した。事後的な調整や支援は「卸価格の個別の値引き交渉による値引き」と「販売促進支援」の2つの類型に分けられる。前者には安値地域のSSへのマージン保証、継続的な仕切価格値引き、交渉による値引き、決算対策としての値引きが含まれ、後者には特定顧客層への販売促進策、協賛金等による支援、リース料や油外商品等の値引きによる支援が含まれる。調査結果によると、事後的な調整を受けている事業者は平成29年度以降継続して減少傾向にあり、特約店では32%から6%へ、販売店では27%から10%へと大幅に減少した。一方で販促支援を受ける事業者は特約店で19%から22%へ、販売店で9%から16%へとやや増加傾向を示している。
