令和3年度新エネルギー等の導入促進のための広報等事業委託費(再エネ導入・運転人材育成支援事業(水力発電))報告書
報告書概要
この報告は、令和3年度に実施された水力発電分野における人材育成支援事業について書かれた報告書である。エネルギー基本計画において水力発電が純国産で安定供給性に優れた重要な電源として位置づけられているものの、初期建設コストの高さや関係機関との調整の複雑さ、さらに技術人材の不足により新規地点の開発が十分に進んでいない現状がある。高度経済成長期以降の水力発電事業の停滞と技術者の大量退職を背景として、この人材不足問題が表面化しており、今後の水力発電開発継続のために技術者育成が喫緊の課題となっている。本事業では、新規中小水力開発を中心とした効率性・環境順応性・安全性向上につながる合理的な水力発電設備の更新・増強を担う水力技術者の育成を図るため、調査から保守・運営管理まで広範な基礎的事項と専門的事項を記載したテキストを作成した。また、作成したテキストを基にした研修カリキュラムを策定し、テキストおよび研修カリキュラムに基づいた研修会をオンライン形式で開催した。研修テキストは、既存の研修内容との重複を避けつつ入門編から専門的な部分をカバーできる構成とし、土木・機械・電気といった分野別ではなく事業実施の流れに沿った構成とした。事業段階を事業立案段階、事業実施段階、事業建設段階、発電所運用段階に分け、各段階での主要な検討内容と判断ポイントを明確にしている。研修は新型コロナウイルス感染症対策のためオンライン形式で実施され、多くの参加者から高い満足度を得た。参加者の約4割が経験1年未満の初心者であり、体系的な知見獲得という当初の目的は達成された。オンライン形式により移動時間制約がなく、細切れでも関心に応じて参加できるメリットがあった一方、実機を用いたリアルな研修の必要性も指摘された。
