令和3年度AIを活用した総括発注業務の効率化に係る実現可能性調査等事業調査報告書
報告書概要
この報告は、中小企業庁における総括発注業務のAI活用による効率化に関する実現可能性調査について書かれた報告書である。株式会社PKSHA Technologyが2022年3月に実施した調査では、中小企業庁の16課室のうち12課室のデータを対象として、3つの主要事業が展開された。
第一に、総括発注業務のAI活用データ作成調査では、メールと添付ファイルの分析を通じて振り分け先の班を特定する作業が行われた。人事異動の影響を避けるため2021年8月以降のデータに限定し、4,050件の振分メールを抽出するとともに、174件の添付ファイルとの紐付けを実現した。メールの抽出は総務課から原課への発注メールに特徴的な用語を手掛かりとし、添付ファイルはメール件名とフォルダ名の突合により特定された。
第二に、AIエンジンのプロトタイプ構築調査では、振り分け根拠となるナレッジ構築から自動振り分けエンジンの開発まで実施された。担当班・担当者情報、所管事項説明、閣議決定文書などから4,281個の特徴語を班別に構築し、重み付けキーワード抽出エンジンを構築した。最終的な精度はRecall 78%、Precision 66%を達成し、将来的には深層学習等の高度化によりRecall 90%、Precision 75%程度への改善が見込まれている。
第三に、システム開発の要件定義調査では、機能要件と非機能要件の定義が行われた。機能要件としてはWebアプリケーションとしてメールと添付資料を取り込み、振り分け候補と判断根拠を提示するUI/UXが設計された。非機能要件では貴庁セキュリティポリシーに準拠し、IP制限等のセキュリティ対策を実施する構成が検討された。システムはクラウド環境にフロントエンドとバックエンドを構築する方針が示されている。
