令和3年度重要技術管理体制強化事業(国際約束の履行等に基づく貿易管理制度等調査)

掲載日: 2022年9月8日
委託元: 経済産業省
担当課室: 貿易経済協力局貿易管理課
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報告書概要

この報告は、令和3年度に経済産業省から委託された重要技術管理体制強化事業における国際約束の履行等に基づく貿易管理制度等調査について書かれた報告書である。近年の国際情勢の変化により、自由貿易を逸脱する輸出規制の導入、アンチダンピング措置、補助金相殺関税の強化が行われており、さらに人権侵害や強制労働を理由とした製品の輸入規制等が欧米において実施される動きがある。第Ⅰ部では各国の経済制裁等に関する調査結果として、特に米国の強制労働に関する輸入規制制度について詳細に分析している。19世紀後半から米国は強制労働で生産された商品の輸入を禁止する法律を制定していたが、2016年頃から中国の新疆ウイグル自治区問題等を背景として積極的な活用を開始した。米国関税法307条は強制労働によって生産された商品の輸入を禁止しており、米税関国境保護局は違反商品保留命令を発出して商品を抑留する権限を有している。輸入業者は3か月以内に強制労働の不関与を証明するか、商品を米国以外に再輸出する必要がある。この措置はグローバルサプライチェーンにおける強制労働の根絶に貢献することが期待される一方、貿易制限的効果によりWTO法との整合性が問題となる。第Ⅱ部では北朝鮮制裁に関する実態調査結果をまとめている。日本は国際社会と連携して北朝鮮に対する国際連合安全保障理事会決議の遵守を求め、制裁措置を厳格に実施している。しかし制裁回避の手口が複雑化・巧妙化しているため、石油、鉄鋼、奢侈品、繊維品等の規制対象品目に関わる業界団体へのヒアリングを通じて、各国企業のデューディリジェンス体制や取組の実態を調査・分析した。